【3ステップで簡単】危機管理マニュアルの作り方とは?【テンプレート付き】
「まさか自分が・・・」そう思っていませんか?
個人事業主や中小企業にとって、予期せぬトラブルや事故は事業の存続を揺るがす大きな危機となりえます。
火災や自然災害、情報漏洩、従業員の不祥事など、企業の規模に関わらず、危機はいつ降りかかるか分かりません。
しかし、多くの個人事業主や中小企業では、危機管理対策が後回しになっているのが現状です。
「時間がない」「費用をかけられない」「自分には関係ないと思っている」
そうした声も聞こえてきます。
しかし、いざという時に備えておくことは、事業の継続と成長にとって非常に重要です。
そんな時、事業を守るための盾となるのが危機管理マニュアルです。
本記事では、危機管理マニュアルとは何か、なぜ必要なのかといった基本から、具体的な作成方法、そして分かりやすい具体例まで、初心者の方にも理解しやすいように解説していきます。
この記事を読めば、あなたも今日から危機管理マニュアル作成に一歩踏み出せるはずです。
- 1. 危機管理マニュアルとは?その重要性を分かりやすく解説
- 1.1. 危機管理マニュアルとは
- 1.2. なぜ危機管理マニュアルが必要なのか?4つのメリットを紹介
- 1.2.1. ①被害の拡大を防ぐ
- 1.2.2. ②事業の継続性を確保する
- 1.2.3. ③企業の信頼回復を早める
- 1.2.4. ④従業員の安全確保
- 2. 【具体例あり】危機管理マニュアルの作り方3ステップ
- 2.1. ①想定される危機を洗い出す
- 2.1.1. 危機の洗い出し方のポイント
- 2.2. ②対応策を検討する
- 2.2.1. 対応策を検討する際のポイント
- 2.3. ③マニュアルを作成する
- 2.3.1. マニュアル作成のポイント
- 3. 【簡単】無料で使える!危機管理マニュアルテンプレート
- 3.1. 危機管理マニュアル
- 3.1.1. 1. 目的
- 3.1.2. 2. 適用範囲
- 3.1.3. 3. 定義
- 3.1.4. 4. 想定される危機
- 3.1.5. 5. 危機発生時の対応
- 3.1.6. 6. マニュアルの改訂
- 3.1.7. 7. 付則
- 4. 【業種別】危機管理マニュアルの3つの具体例
- 4.1. 1.飲食店の場合
- 4.1.1. 食中毒
- 4.1.2. 火災
- 4.2. 2.小売店の場合
- 4.2.1. 盗難
- 4.2.2. 個人情報漏洩
- 4.3. 3.IT企業の場合
- 4.3.1. 情報漏洩
- 4.3.2. システム障害
- 5. まとめ:危機管理マニュアルで事業を守る!
危機管理マニュアルとは?その重要性を分かりやすく解説
危機管理マニュアルとは
危機管理マニュアルとは、企業が危機に直面した際に、被害を最小限に抑え、事業を継続・早期復旧するための手順や対応策をまとめた行動指針です。
火災発生時の避難経路や顧客情報の漏洩時の対応など、具体的な状況を想定した上で、誰が、何を、いつ、どのように行うべきかを明確に定義することで、冷静かつ迅速な初動対応を可能にします。
なぜ危機管理マニュアルが必要なのか?4つのメリットを紹介
危機管理マニュアルを作成しておくことで、次のようなメリットがあります。
①被害の拡大を防ぐ
危機発生時の初動対応を迅速かつ的確に行うことで、二次被害や風評被害の拡大を最小限に抑えることができます。
パニック状態に陥りやすい緊急時でも、マニュアルに従って行動することで、冷静かつ適切な対応が可能になります。
②事業の継続性を確保する
事業停止のリスクを低減し、いち早く正常な状態に復旧することで、事業の継続性を確保することができます。
重要な業務の代替手段や復旧手順をあらかじめ決めておくことで、事業の停止期間を最小限に抑えることができます。
③企業の信頼回復を早める
誠実かつ適切な対応は、顧客や取引先からの信頼回復に繋がり、企業価値の維持に貢献します。
事前に対応方針を決めておくことで、一貫性のある対応が可能になり、企業への信頼低下を防ぐことができます。
④従業員の安全確保
緊急時の行動規範を共有することで、従業員自身の安全確保にも役立ちます。
避難経路や連絡体制を明確にすることで、従業員の安全を確保し、二次被害の発生を防止することができます。
【具体例あり】危機管理マニュアルの作り方3ステップ
いざ危機管理マニュアルを作成しようと思っても、何から手をつければいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
ここでは、個人事業主や中小企業の方向けに、分かりやすく実用的な危機管理マニュアルの作成手順をステップ別に解説していきます。
①想定される危機を洗い出す
まずは、自社の事業内容や規模、立地条件などを考慮し、起こりうる危機を具体的に洗い出すことから始めましょう。
例えば、次のようなものが考えられます。
- 自然災害: 地震、台風、洪水、火災、落雷、竜巻、大雪など
- 事故: 設備の故障、停電、情報漏洩、顧客情報紛失、取引先とのトラブル、従業員の事故、商品・サービスの欠陥、食中毒など
- 不祥事: 従業員による横領、情報漏洩、パワハラ、セクハラ、コンプライアンス違反など
- 風評被害: インターネット上での誹謗中傷、不正確な情報の拡散、製品・サービスに対する悪評など
- 感染症の蔓延: 新型コロナウイルスのような、感染力の強い感染症の流行
- テロ: 爆破、銃撃、サイバーテロなど
危機の洗い出し方のポイント
- ブレーンストーミングやアンケートなどを活用し、様々な視点から多角的に検討する:従業員だけでなく、顧客や取引先など、様々な立場からの意見を取り入れることで、多角的な視点で危機を洗い出すことができます。
- 過去の事例や業界の傾向を参考に、自社にとって現実的に起こりうる危機を想定する:新聞記事や業界団体が公表している情報などを参考に、自社にとって現実的に起こりうる危機を想定することが重要です。
- 想定される被害規模や影響範囲を考慮し、優先順位をつけておく:すべての危機に対して、同じレベルで対応することは難しいので、被害規模や影響範囲が大きいものから優先的に対策を検討しましょう。
②対応策を検討する
想定される危機ごとに、具体的にどのような対応策を講じるべきかを検討します。
- 初動対応: 危機発生時の連絡体制、関係部署への情報伝達、顧客への対応(問い合わせ窓口の設置、ホームページやSNSでの情報発信など)、従業員の安全確保、被害状況の確認など
- 被害拡大防止: 二次被害の発生防止、風評被害対策、事業継続のための代替手段の確保、顧客や取引先への影響を最小限に抑えるための対策など
- 事業継続: 事業を継続するための代替手段の確保、復旧計画、従業員の雇用維持、取引先との関係維持など
- 風評被害対策: 報道機関への対応、ホームページやSNSでの情報発信、事実と異なる情報の訂正、謝罪、訴訟などの法的措置など
- 再発防止: 同じ危機を繰り返さないための対策、マニュアルの見直し、従業員への教育など
対応策を検討する際のポイント
- 各部署や担当者ごとの役割分担を明確にする:誰が、何を、いつ、どのように行うのかを明確にすることで、混乱を防ぎ、迅速な対応が可能になります。
- タイムラインに沿って、時系列で具体的な行動指針を定める: 危機発生から収束までの流れに沿って、時系列で具体的な行動指針を定めることで、状況に応じた適切な対応が可能になります。
- 図表やチェックリストなどを活用し、分かりやすく実用的な内容にする: 図表やチェックリストなどを活用することで、視覚的に分かりやすく、実用的なマニュアルを作成することができます。
③マニュアルを作成する
検討した内容を元に、実際にマニュアルとしてまとめていきます。
マニュアルには、以下の項目を含めるようにしましょう。
- 目的: マニュアルを作成する目的を明確にする
- 対象: どの範囲の危機を対象とするかを明確にする
- 定義: マニュアル内で使用する専門用語や略語の説明
- 危機発生時の対応フロー: 危機の種類ごとに、発生時の対応手順をフローチャートなどで分かりやすく示す
- 関係機関の連絡先一覧: 警察、消防、病院、保険会社、弁護士など、緊急時に必要な連絡先をまとめておく
- 改訂履歴: マニュアルの改訂日時と内容を記録
マニュアル作成のポイント
- 分かりやすい文章と見やすいレイアウトで作成する: 専門用語を避け、誰にでも理解できる平易な言葉を使用しましょう。また、見出しや箇条書きなどを効果的に活用し、読みやすいレイアウトに心がけましょう。
- 図表やイラストを効果的に活用し、視覚的に理解しやすいように工夫する: フローチャートやイラストなどを活用することで、視覚的に分かりやすく、理解しやすいマニュアルを作成することができます。
- 定期的に内容を見直し、最新の情報に更新する: 社会情勢や法令改正などに応じて、マニュアルの内容を定期的に見直し、最新の情報に更新することが重要です。
【簡単】無料で使える!危機管理マニュアルテンプレート
実際に危機管理マニュアルを作成する際に、雛形があると便利です。
以下に、危機管理マニュアルの基本的なテンプレートを用意しました。
このテンプレートを参考に、自社の事業内容に合わせたオリジナルのマニュアルを作成してみましょう。
危機管理マニュアル
制定日:[制定日を入力]
最終改訂日:[最終改訂日を入力]
1. 目的
- 本マニュアルは、[会社名](以下「当社」という)において発生する可能性のあるあらゆる危機に対し、迅速かつ適切な対応を行うことにより、被害の拡大を防止し、顧客、取引先、従業員、および社会全体への影響を最小限に抑え、企業としての社会的責任を果たすことを目的とする。
2. 適用範囲
- 本マニュアルは、当社のすべての役員、従業員(正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む)に適用される。
- また、当社の事業活動に関わる協力会社、取引先等についても、本マニュアルの内容を周知徹底するよう努めるものとする。
3. 定義
- 危機:当社の事業活動に影響を与える可能性のある、自然災害、事故、事件、不祥事、風評被害、情報漏洩、感染症の蔓延、テロなどの事象をいう。
- 危機管理:危機の発生を予防し、危機が発生した場合には、迅速かつ適切な対応を行い、被害を最小限に抑えるとともに、早期の事業復旧を図るための活動をいう。
- 危機管理責任者:危機発生時の対応に関する責任者であり、[役職名][氏名]とする。
- 危機管理対策本部:危機発生時に設置される、対応の指揮、情報収集・分析、関係部署への指示などを行う組織であり、本部長は[役職名][氏名]とする。
4. 想定される危機
当社において想定される危機は以下のとおりとする。
- 自然災害:地震、津波、台風、洪水、大雪、落雷など
- 事故:火災、爆発、停電、断水、情報漏洩、個人情報紛失、製品事故、リコール、従業員の事故など
- 事件:強盗、窃盗、脅迫、暴力行為、テロなど
- 不祥事:粉飾決算、横領、贈収賄、談合、独占禁止法違反、環境汚染、食品偽装など
- 風評被害:インターネット上での誹謗中傷、風評被害情報の拡散など
- 感染症の蔓延: インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など
- その他: 事業環境の変化、競争激化、法令改正など
5. 危機発生時の対応
5-1. 初動対応
- (1) 状況把握
- 危機発生の事実を確認し、被害状況、発生場所、発生時刻、原因などを迅速かつ正確に把握する。
- (2) 社内への連絡
- 危機発生の事実を、危機管理責任者、危機管理対策本部メンバー、従業員へ速やかに連絡する。
- 連絡方法は、電話、メール、社内ポータルサイトなど、状況に応じて適切な方法を用いる。
- (3) 関係機関への連絡
- 必要に応じて、警察、消防、海上保安庁、医療機関、自治体、関係省庁などへ連絡する。
- 連絡先は、あらかじめ「関係機関連絡先一覧」を作成しておく。
- (4) 従業員の安全確保
- 従業員の安全を最優先に考え、避難誘導など適切な措置を講じる。
- 従業員の出張先や移動中など、社外にいる従業員の安否確認も行う。
- (5) 被害拡大防止
- 二次被害の発生を防ぐため、必要に応じて、火災の延焼防止、危険物や個人情報の保護などの措置を講じる。
- (6) 情報収集
- 危機に関する情報(被害状況、原因、今後の見通しなど)を、関係機関、報道機関、インターネットなどから収集する。
5-2. 危機管理対策本部の設置
- 危機の規模や影響に応じて、危機管理対策本部を設置する。
- 危機管理対策本部長は、速やかに対策本部メンバーを招集し、初動対応の確認、今後の対応方針などを決定する。
5-3. 対外対応
- (1) 顧客への対応
- 顧客に対して、危機発生の事実、被害状況、今後の見通しなどを、速やかに、正確に、丁寧に説明する。
- 問い合わせ窓口を設置するなど、顧客からの問い合わせに迅速かつ適切に対応できる体制を整える。
- (2) 取引先への対応
- 取引先に対して、危機発生の事実、納期への影響などを速やかに連絡する。
- 代替品の納入や納期の調整など、取引先への影響を最小限に抑えるよう努める。
- (3) 報道機関への対応
- 報道機関からの取材依頼には、危機管理対策本部において、窓口を一本化して対応する。
- 事実関係に基づいた正確な情報を提供し、憶測や風評被害の拡散防止に努める。
- (4) インターネット対応
- 当社のウェブサイトやソーシャルメディアアカウントにおいて、危機発生に関する情報を発信する。
- インターネット上での風評被害対策も行う。
5-4. 事業継続
- 危機発生の影響を最小限に抑え、事業を早期に復旧させるため、以下の対策を講じる。
- 生産活動の停止または縮小
- 代替生産拠点の稼働
- 在庫の活用
- サプライチェーンの見直し
- 従業員の配置転換
- 情報システムの復旧
5-5. 再発防止
- 危機の原因を究明し、再発防止策を策定する。
- マニュアルや社内ルールの見直し、従業員教育などを行い、危機管理体制の強化を図る。
6. マニュアルの改訂
- 本マニュアルは、必要に応じて適宜改訂するものとする。
- また、少なくとも年に1回以上見直しを行い、その内容を更新するものとする。
7. 付則
- 本マニュアルは、[会社名]のすべての役員および従業員に周知徹底するものとする。
- 本マニュアルの解釈および適用については、危機管理責任者がその任にあたる。
【業種別】危機管理マニュアルの3つの具体例
業種別に、想定される危機と具体的な対応策の例を挙げながら、より実践的な内容を解説していきます。
1.飲食店の場合
- 想定される危機: 食中毒、火災、盗難、従業員の怪我、食材の品質不良、異物混入など
- 具体的な対応策例
食中毒
- 食材の保管状況や調理過程をマニュアル化し、従業員への衛生教育を徹底する。
- 発生時には、保健所の指示に従い、原因究明や被害者への対応を行う。
- 風評被害対策として、ホームページやSNSで状況説明と謝罪文を掲載する。
火災
- 避難経路の確認、消火器の設置場所や使用方法の周知、従業員への避難訓練の実施。
- ガス漏れなどが発生した場合の対応手順をマニュアル化する。
2.小売店の場合
- 想定される危機: 盗難、万引き、顧客情報漏洩、商品事故、従業員の怪我、クレーム対応など
- 具体的な対応策例
盗難
- 防犯カメラの設置、従業員による巡回、不審者への声かけなど、防犯対策を強化する。
- 発生時には、警察への被害届の提出、被害状況の確認、再発防止策を講じる。
個人情報漏洩
- 顧客情報の管理体制を厳格化し、従業員への情報セキュリティ教育を徹底する。
- 発生時には、事実関係の確認、影響範囲の特定、関係者への報告を行う。
- 個人情報保護法に基づいた適切な対応を行う。
3.IT企業の場合
- 想定される危機: 情報漏洩、システム障害、サイバー攻撃、自然災害による停電、ウイルス感染など
- 具体的な対応策例
情報漏洩
- ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、アクセス権限の設定など、セキュリティ対策を強化する。
- 発生時には、原因究明、被害状況の把握、影響範囲の特定を行い、再発防止策を講じる。
- 個人情報保護法、不正アクセス禁止法などの関係法令に基づいた適切な対応を行う。
システム障害
- データのバックアップ体制を整備し、障害発生時の復旧手順をマニュアル化する。
- 発生時には、原因究明、復旧作業、影響範囲の特定を行い、サービスの早期復旧を目指す。
- 顧客や取引先への影響を最小限に抑えるための対策を講じる。
まとめ:危機管理マニュアルで事業を守る!
この記事では、危機管理マニュアルの基礎知識から作成方法、具体例までを詳しく解説しました。
危機管理マニュアルは、作成して終わりではなく、定期的な見直しや改善が必要です。
事業内容の変化や社会情勢に合わせて、常に最新の状態に保つことが重要です。
「まだ危機管理マニュアルを作成していない」「何から手をつければいいか分からない」という方は、ぜひこの記事を参考に、危機管理マニュアルの作成に今すぐ着手しましょう。
危機管理マニュアル作成の専門家であるホネグミでは、お客様の事業内容に合わせた最適なマニュアル作成をサポートいたします。
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投稿者プロフィール
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